「どうしよう。娘(1歳半〜4歳)の腕が動かない!」それは肘内障(肘の亜脱臼)かもしれません。

京都 向日市のカピバラ こと、カピバラ整体院の西村草輝です。今回は「肘内障(ちゅうないしょう)」という肘が脱臼しかけて動かなくなる症例です。肘内障は1歳〜4歳ぐらいまでの小児の手を引っ張った時によくなります。最近、「娘(息子)の腕が動かなくなった!どうしよう!?」というお母様からのお電話を多く頂きました。なぜか患者さんの症状が重なる時があるのです。

肘の関節ってどんな形?

最初に、まず肘関節はこんな形をしています。

↑腕は、手首から肘へ2つ、肘から肩に1つの、合計3つの骨で出来ています。この3つの骨が蝶番のように動いて肘を曲げたり、伸ばしたりできます。

肘関節の付け根にあるスジ

↑親指側の骨の付け根にゴムバンドのようなスジ(写真のオレンジ色の輪っか)があり、親指側の骨を固定しています。

肘内障について

小児は骨の形が発達していないので、腕を急に引っ張るとゴムバンドがずれてしまうのです。

すると、ズレたゴムバンドが関節に引っかかって腕を曲げると痛いのでお子様は腕を動かさなくなります。

どんな時になるの?

  1. 手を繋いで引っ張った時に。
  2. 雲梯(うんてい)をしていて、体重で肘が引っ張られた時に。
  3. 転びそうになった時に片手で何かを掴んだ時に。

など、腕を引っ張る力がかかった時に発症します。

外れた肘のスジの戻しかた。

肘内障の治療1

↑撮影用に左手でスマートフォンを持っているため片手で肘を操作していますが、実際は両手で支えます。

写真用に分かりやすくするためにシッカリ肘を曲げきってますが実際はもっと優しく操作します。

↑親指を患者さんの肘の輪っかのスジに乗せて優しく、でも安定するように肘全体を持ちます。肘の輪っかのスジを持ったまま、腕を小指側にクルッと回します。

回した後に、肘を曲げます。(この時に施術者の指に「プチッツ」と音を感じます)

肘内障の治療3

↑そのまま、肘を伸ばします。以上です。

この間、約10秒。ちゃんと靭帯がハマると五分くらいでお子様は何事も無かった様に遊びだします。急に子供が元気になるのでお母さんは魔法使いでも見るような眼差しを向けてくれますが、正確に治療をすると肘内障は直ぐに治ります。

※お子様からすると知らないところで怖いことをされるので、治療が上手くいっても暫く泣き続けるお子様もいらっしゃいます。そんな場合は一度ご自宅に戻っていただきます。お子様が家でリラックスしたら腕を動かしだすか確認して貰います。普通に遊んで腕も動かしたら大丈夫です。

治療は手順が分かると難しくは無いですが、小さな子供の場合は似た症状と間違えないようにする事が大切です。

肘内症(肘関節の亜脱臼)の見分け方

肘内症の特徴

  1. 肘をダランと下げて、動かさない。
  2. 肘や手首、鎖骨などが腫れや発熱は一切ない。
  3. 動かすと痛いので、なんと無く元気が無くなっておとなしくなる。

肘内症に似ている他のケガ

色々な骨折と症状がとても似ているのです。小さな子供は当然、自分の状態を説明出来ません。骨折の場合は患部が腫れたり特徴があるのですが、骨が小さいので、軽微な骨折だと判別が付きにくい場合もあるので注意が必要です。

【1】鎖骨骨折

鎖骨が腫れて、左右のバランスが悪くなります。肘を軽く触っても大丈夫ですが、脇の下に手を入れて抱きかかえたりすると痛みと、怖さでお子様が泣きます。

【2】肘の骨折、脱臼

肘が腫れて、熱をもちます。

【3】手首の骨折

手首が腫れて、熱を持ちます。

終わりに

お子様によっては7歳ぐらいでも発症する子もいるようです。ご両親は普段から、お子様の手をあまり強く引っ張らないように気をつけて下さい。

そしてもし、お子様が急に腕を動かさなくなっても慌てないで下さい。骨折の場合でも小児の場合は数ヶ月で骨の形も綺麗に元どおりに治る場合がほとんどです。肘内障は適切な治療だと数分後に元気に元どおりに遊び出します。なので安心して下さい。当院でも肘内障の場合は整復しております。骨折の場合は病院でギプスなどの治療をお勧めいたします。

受傷後の早期の発見と適切な治療が大切です。

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